1. Windowsの基礎
1.1. WindowsのクライアントOS
1.1.1. Windows OS(Home/Pro)
Windows OSは一般の家庭向け。基本的なユーザー向けのMicrosoftのOS。 Windows OSはHomeとProの2つのエディションがある。
Windows Homeの特徴
- 一般の家庭向け。基本的なユーザー向け
- 低価格
Windows Proの特徴
- 小規模ビジネスやエンタープライズ環境向け
- BitLocker機能がある
- リモートデスクホストをサポートする
- Homeより追加機能がある
1.2. Windows Server
1.2.1. Windows Serverとは
Windows Serverは企業や組織向けのサーバ環境を構築するためのOS。 Windows OSと異なり以下機能を提供する。
- サーバ機能に特化
- Active Directory、DNS、DHCP、ファイルサーバー、Webサーバーなど構築しやすい
- リモートでの管理を強力にサポートしている
- リモートデスクトップなどをサポート
- 認証の管理が可能
- ユーザのアカウントポリシ作成管理が可能
- ダイナミックアクセス制御が可能
- 仮想化ホストの作成が可能
- 冗長化クラスタ構築対応
Windows Serverのエディション
ここではWindows Server 2022のエディションに関して記載する。
エディション | 対象 | 対応状況 | 制限 | 仮想化対応 | 説明 |
---|---|---|---|---|---|
Essentials | 中小企業向け | - | 2プロセッサ(4CPU), 最大25ユーザー/50デバイス | なし | 管理機能や認証で制限あり |
Standard | - | - | - | 制限付き(2つまで) | - |
Datacenter | 大企業/データセンタ向け | - | - | 無制限 | - |
Datacenter:Azure | - | - | - | 無制限 | Azure向けに最適化 |
ServerCoreとデスクトップエクスペリエンス
ServerCoreではデスクトップ画面が存在せず、PowerShellやコマンドラインで操作を行う。 デスクトップエクスペリエンスでは通常のWindows GUIのデスクトップ機能が搭載される。
なお、インストールの際にこのどちらかを選択できるが、インストール後に変更できない。
Windows Serverのシステム要件
ここではWindows Server 2022のエディションに関して記載する。
- プロセッサ
- 1.4GHz以上 64bitプロセッサ
- x64命令セット対応
- NX/DEPのサポート
- メモリ
- 最小512MB(:2GB)
- ECC型もしくは同様のテクノロジ
- 記憶域コントローラ/ディスク
- システムパーティションに必要なディスク領域(32GB)
- PCI Expressアーキテクチャ準拠
- ネットワークアダプタ要件
- GBit以上の処理が可能なEthernetアダプタ
1.2.2. Windows Serverの初期設定
基本的な設定は以下内容を実施する。
- インストール
- ネットワーク設定
- 時刻同期の設定
- コンピュータ名の設定
- ワークグループ/ドメインの設定
- リモート管理有効化
- リモートデスクトップ有効化
- 仮想メモリ(swap)の設定
- 最小1XRAM,最大3XRAM程度
- Windows Updateの自動更新設定
- ライセンスの設定
- 追加の機能の設定(オプショナル)
1.2.3. Azureとの連携
Windows Server 2022ではAzureの各機能と連携できるように機能が拡張されている。
- Azure Virtual Machinesの管理機能
- 物理サーバとAzure上の仮想マシンを集中管理できる
- クラウドへのバックアップ機能
- Azure上のAzure BackUPの利用でWindows Serverのバックアップ/リストアが行える
- Datacenter: Azure Editionの機能
- Azure用拡張ネットワーク機能
- ホットパッチ(再起動不要なセキュリティ更新プログラム更新)
- SMB over Quic機能(VPN不要セキュアファイルサーバ接続)
1.3. Microsoftのライセンス
マイクロソフトではソフトウェア製品とライセンスの販売をしており、正式な利用にはこの2つの購入が必要で、この2つを入手して初めて所有権を得るモデルを採択している。
1.3.1. ライセンスプログラムの種類
大規模組織全体向けのライセンスプログラム
- 組織向け
- Enterprise Agreement
- Open Value Subscription Agreement
- 教育機関向け
- Enrollment for Educaion Solutions
- Open Value Subscription Agreement for Education Solutions
- School Agreement
上記プログラムのメリットは以下の通り。
- 組織全体で最新のソフトウェアを利用できる
- 業務使用するソフトウェアの予算見積もりがしやすい
- 一括購入と一元管理が行える
- システム標準化とライセンス負荷軽減ができる
- ライセンス数不足による不正利用リスクの軽減
必要なときに用意するライセンスプログラム
- Microsoft Products and Services Agreement
- Select Plus
- Open Value Agreement
- Open Lisence Agreement
これら(特に下2つ)は必要な数と期間のみライセンスを用意できるメリットがある。
その他のライセンスプログラム
- 独自ニーズに応じたソリューションを導入するケース
- Microsoft Cloud Agreement
- 必要に応じたオンラインサービスをすぐに導入するケース
- Microsoft Online Subscription Agreement
1.3.2. ライセンスモデル
サーバライセンス
サーバライセンスはサーバ自体の使用を許諾するライセンス。 サーバの物理コア単位で購入するためコアライセンスとも呼ばれる。
クライアントアクセスライセンス(CAL)
CALはデバイス/ユーザがサーバへ接続するために必要なライセンス。 サーバライセンスと別で用意する必要がある。
CALにはユーザCALとデバイスCALの2種類がある。
- ユーザCAL
- CAL割り当てユーザはLANで稼働するすべてのWindowsサーバにアクセスできる
- 複数サーバにアクセスする際に使用する
- デバイスCAL
- デバイスからLANで稼働するすべてのWindowsサーバにアクセスできる
- 1台のコンピュータから複数のサーバにアクセスする際に使用する
External connecterライセンス
External connecterライセンスはサーバに割り当てられるライセンス。 このライセンスで同じバージョンまたは以前のバージョンのサーバソフトに外部ユーザがアクセスできる。
ユースケースは多数の外部ユーザが社内サーバにアクセスするケースが想定される。
1.3.3. ライセンスモード
CALは使用するサーバと接続の種類により必要であるケースと必要でないケースに分かれる。 必要な場合は以下の通り。
- 同時使用ユーザ数モード
- 接続デバイス数/接続ユーザ数モード
同時使用ユーザモード
このモードは特定のサーバ/ソフトウェアに対する同時使用を許可するライセンスモード。 同時接続するクライアントコンピュータの数に合わせてCALを用意する必要がある。
クライアントが以下のケースで経済的となる。
- 常にサーバに接続しない場合
- すべてのクライアントが同時にサーバに接続しない場合
接続デバイス数/接続ユーザ数モード
このモードはクライアントコンピュータがNW上のすべてのWindowsサーバへ接続することを許可する。 サーバ/ソフトウェアに接続するすべてのデバイスとすべてのユーザの分だけCALが必要になる。