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2. システム開発に関連する用語

2.1. 開発系全般の用語

2.1.1. バージョン管理ツール

ファイルやデータのバージョンを管理する仕組みやツール。 リビジョン管理システムとも呼ばれる。 集中型分散型の2種類がある。

集中型バージョン管理ツール

集中型バージョン管理ツールで1つのリポジトリのみを使用する。 リポジトリへの反映にはリポジトリと端末がネットワークで繋がっている必要があり、繋がっていなければファイルの変更履歴をリポジトリに反映することができない。

代表的な集中型のバージョン管理ツールにはSVNCVSがある。

分散型バージョン管理ツール

分散型バージョン管理ツールは各ローカル環境にリポジトリの複製を作成し、ローカルごとにバージョン管理を行える特徴がある。 ローカルごとにバージョン管理を行い、そのあとで中心のリポジトリとバージョン管理の情報を共有する。

代表的な分散型のバージョン管理ツールにはGitがある。

2.1.2. コーディング・実装原則

YAGNI原則

後で使うと設計した機能は後から使わないという原則。

DRY原則

重複管理を避けて1か所で管理するというルール。

KISSの原則

複雑にせず単純にするという原則。

2.1.3. CMS/HeadlessCMS

CMS

WordPressやEC-CUBE、Drupalなどの従来のCMS。

HeadlessCMS

ヘッドレスCMSはコンテンツ管理機能に特化したCMS

ヘッドレスCMSと従来のCMSは、管理機能であるバックエンドのみか、表示機能であるフロントエンド・バックエンド機能を同時に持つかに違いがある。

ヘッドレスCMSでは管理機能のみになるため、別に表示画面の用意と専門知識が必要となっている。その分表示画面の自由度が高まり、APIの受け取り先が格段に増えることから、さまざまなデバイス・チャネルに対応が可能と言える。

具体的なサービスにはStrapi、microCMS、GraphCMSなどがある。

2.2. フロントエンドの用語

2.2.1. SPA/MPA

SPA

SPA(Single Page Application)は単一のWebページで構成するアプリケーション。 ページ遷移を行わずにページやコンテンツの切り替えが可能なのが特徴。 言い換えると、他のページへ移動せずにコンテンツの切り替えができる技術

具体的にはユーザーがひとつのサービスを通じて得られる体験であるUXの向上に効果があり、ブラウザの挙動に縛られることがないUIの実現が可能となっている。

SPA

SPAの開発はJavaScriptにより実現される。 またOSSで提供されているSPAを構築可能なフレームワークは以下のようなものがある.

  • React ・・・ Facebook主導のフレームワーク、UIデザインの知識がなくても最先端のフロントエンドが作れる、スマホアプリにも拡張可能
  • Vue ・・・ シンプルなフレームワークで使いやすい、日本語のドキュメントが充実している、学習コストが低い
  • Angular ・・・ Google主導のフレームワーク、動作端末を考慮する必要がなく汎用性が高い、機能が多いため大規模開発に向いている

MPA

MPA(Multiple Page Application)は複数のページで構成されるアプリケーションです。 HTTP GETが来たら、リクエストに応じたHTMLを1つ1つ組み上げてブラウザに返すオーソドックスで昔ながらの特徴となっている。 Railsやlaravelなどのサーバサイドフレームワークを公式ドキュメント通り作るとこの設計になる。

またWordPressなどのCMSもMPA構成となっている。

2.2.2. SSR/CSR/SSG

SSR

SSR(Server Side Rendering)はページ遷移のたびサーバーにリクエストが走り、そのままサーバー側でAPIと連携をしてレンダリングが行われ、生成されたHTMLをブラウザに返すアーキテクチャのこと。

サーバー側でレンダリングが行われる特徴がある。

SSR

サーバーサイドレンダリング(SSR)は、その名の通りサーバー側でアプリケーションの HTML を生成しレスポンスとして返すことを言う。 一般的に利用されている MPA(Multiple Page Application)では言うまでもなく行われていることなので、SSR というワードは自ずと SPA(Single Page Application)を構築する際のオプション機能を指すことが多い。

SSRのメリットを整理すると、まず一番に挙がるのはレンダリングをサーバー側で行えるので、通常のSPAと比べて初回読み込みに時間がかからないということである。 厄介なレンダリング処理をサーバー側で行えるので、ブラウザの負担が減り、すなわちブラウザのスペックの高くない機器(スマホなど)でも安定した表示速度を保つことが可能となっている。

CSR

CSR(Client Side Rendering)は、クライアント側のJavaScriptを使用し直接ブラウザでページをレンダリングすることを言う。

大きいアプリケーションの場合クライアントで処理するJavascriptの量も増える(クライアントで処理する情報量が増加する)。

SEO的には弱い。

SSG

SSG(Static Site Generation)はビルド時に、サーバー側で、APIからのデータ取得とそれに伴ったHTMLの構築を終わらせておき、ユーザーからリクエストされた際にこの事前につくっておいたHTMLを渡すアーキテクチャ。

Next.jsやNuxt.jsなどを利用することで構築できる。

SEO対策が可能。

Cookieは簡単に言うとサイト訪問者のユーザ情報をブラウザに一時保存(キャッシュ)する仕組み

ファストパーティCookieサードパーティCookieの2種類がある。

通常のログインに関する情報やショッピングカートの中身などの1つのサイト用のCookie。

サードパーティクッキーは訪れたサイト以外のドメインから(第三者)から発行されたクッキーであり、ドメインを横断したトラッキングができるのでWEB広告で広く活用されている。

Googleにより、2024年に廃止が決定された。 個人情報保護の観点からクッキーへの規制を強める動きがあるため廃止される可能性が高い

2.3. バックエンドの用語

2.3.1. モノリス/マイクロサービス

モノリスアーキテクチャ

モノリスアーキテクチャは1つのサービスや機能で構築される従来型のアーキテクチャである。

モノリシック

マイクロサービスアーキテクチャ

マイクロサービスアーキテクチャは複数のサービスや機能を疎結合させて構築されるアーキテクチャ

メリットとしてはマイクロサービスのアーキテクチャでは、大規模で複雑なアプリケーションを提供する際のスピードと信頼性が向上することが上げられる。

マイクロサービス

マイクロサービスをWeb系システムで組むための関連技術としては、Go言語やKubernetesなどが注目されている。

2.3.2. サーバレスアーキテクチャ

サーバーレスアーキテクチャーは常時稼働する物理サーバーや仮想化基盤上の仮想マシンを極力使わずにアプリを構築するアーキテクチャーのこと。

具体的にはクラウドであるIaaSやPaaSの登場によりシステム開発側がサーバを意識する必要がなくなったことから登場した概念といえる。

AWSで言うと、ECSやEKS基盤、Amplifyなどで構成されるようなアプリケーションはサーバレスアーキテクチャと言える。

2.3.3. NoSQL

NoSQL(Not Only SQL)は非リレーショナルデータベース(RDB)なデータベースの総称のこと。 近年RDBでは対応できないケースが増えてきたことから、昨今ではNoSQLが注目されている。

NoSQL

特徴としてはNoSQLでは音声や画像など、Excelのセルに入らないデータも扱える。 速度を優先する構造であるためビッグデータなど大量データの処理に向くことも注目を集める大きな要因である。

NoSQLは4種類に分類される。

  • キーバリュー型
  • ワイドカラムストア型
  • ドキュメント型
  • グラフ型

NoSQLが適するケースは以下の通り。

  • 非構造化データや半構造化データを扱うとき
  • スピードが第一に要求されるシステム
  • 拡張する可能性が高いシステム

2.3.4. ORM

ORM(Object-Relational Mapping)はオブジェクトと関係(RDB)とのマッピングを行うもの。 内部的にはORMがSQLをラッピングした構成となっている。

ORMを使うとSQLを直接書くことなく、オブジェクトのメソッドでDB操作ができると言う特徴がある。

フレームワークごとのORMは以下の通り。

言語 ORM 説明
Ruby ActiveRecord RailsのORM
Python Django ORM DjangoのORM
Node.js Prisma, TypeORM

2.3.5. RPC

RPC(遠隔手続き呼出し)はコンピュータで動作するソフトウェアから、通信回線やコンピュータネットワークを通じて別のコンピュータ上で動作するための規格であり、互いに互換性がない場合があることからプロトコルというほどの堅い規約というよりも分類である。

有名どころ: XML-RPC, JSON-RPC, tRPC, gRPC

tRPC

簡単に言うと、server側で定義したInterfaceをそのままclient側で取り込んで繋ぎ込みができるもの。

Node.js(Type Script)向きのRPC実装

公式ドキュメント:https://trpc.io/

関連するパッケージyarn add @trpc/server zod

gRPC

Googleが開発したRPC実装。 マイクロサービスアーキテクチャと相性が良い

公式ドキュメント:https://grpc.io/

2.3.6. Open API

言語に依存しない標準の RESTful API へのインターフェイス仕様。 関連するものにswaggerがある。

API設計が巨大化したときに使える。

swagger: Open API Specific を記述するための、OSSのツール https://swagger.io/docs/specification/about/