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3. 匿名性の高いブラウジング

3.1. 通常のブラウジング

通常のブラウジングではIPアドレスを元にサーバへのアクセスを行う。 そのため通常のブラウジングでは主に以下のようにネットワーク上に痕跡を残してしまう。

  1. 契約しているISPのアクセスログにサイトへのアクセス履歴が残ってしまう(一般的にはISPのログの保存期間は3~6か月とされる)
  2. 通信を要求したサーバにアクセスログが残る(匿名化を行わない場合、生IPがログとして残る)

2に関してはプロキシサーバを介することでクライアント端末の生IPを秘匿することは可能ではあるが、結局プロキシサーバからのアクセスログが残るため、それだけでは匿名性があるとは言えない。

3.2. 匿名化ブラウジング

Torだけの利用でも匿名性は高いが完全とは言えない。 そのためプロキシサーバやVPNを併用することでさらなる匿名化と利便性を上げることが可能となる。

上記を行うメリットは以下の通り。

  • Torをブロックするウェブサイトにアクセスができる
  • ISPへTorノードへのアクセスを秘匿できる

など

3.2.1. VPNの概要

VPNはカプセル化により仮想的なプライベートなネットワークを構築できる技術。 データを別のコンピュータに転送する間の通信が暗号化されるため、通信経路上からは外部からは2台がどのような通信をしているかを知ることができない。そのため通信の内容や本当の通信相手を秘匿することができる。

ちなみにVPNを利用すると契約しているISPや公衆無線LANの管理者からはVPNサーバに対し何らかの通信を行っていることしかわからない。

3.2.2. 通常VPN

通常VPNは利用者の通信ログを保存しないことを宣言していない通常のVPNサービスを提供する事業者を指す。

3.2.3. ノーログVPN

ノーログVPNは利用者の通信ログを保存しないことを宣言しているVPNサービスを提供する事業者を指す。 ノーログと謳っていても実際にはログを保存していたり、積極的に収集している業者も存在するため、利用の際は慎重に業者を選ぶ必要がある。

多くは有料であるが、決済の際に洗浄したビットコインや匿名通貨を使うことで決済の匿名化が可能である。

名称 説明
NordVPN ダブルVPNサービスがある。なお脆弱性が過去に複数発見されている
MullvadVPN ミキシング仮想通貨で支払い可能なノーログVPN。Vプリカギフト支払い可能。
ExpressVPN 最高レベルのセキュリティを保持しているVPN。月額換算900円で高額な方。
Private Internet Access
AirVPN VPN over Torに対応
Hide.me
Perfect Privacy
OVPN

なお上記はすべてインターネットVPNのクライアントVPNのサービスである。

3.3. 匿名化ブラウジングの強化

匿名化ブラウジングの手法は大きく分けるとTor over VPNVPN over Torの2種類ある。

Tor ovr VPN VPN over Tor
接続 VPN経由でTorに接続 Tor経由でVPNに接続
設定難易度 低い(どのVPNでも可能) 高い(AirVPNなど一部のVPNのみ対応)
匿名性 非常に高い 最高レベルの匿名性
特徴 ダークウェブにアクセスできる、ISPはVPN接続を検知できる、ISPはTor接続を検知できない、Torで攻撃されても匿名を保つ ダークウェブにはアクセスできない、ISPはVPN接続を検知できない、ISPはTor接続を検知できる、VPNから通信履歴が漏れても匿名性を保つ

3.3.1. Tor over VPN

VPN to Torではクライアント端末からTorノード(ガードノード)までの通信を秘匿することができる。特性上ダークウェブにアクセスする際の匿名性/安全性を上げるのに使用される。

この場合、通信経路上のIPSのサーバには契約者の端末がVPNのサーバにアクセスしている情報がログが残されるため、ISPには契約者がVPNサーバにアクセスしていることしか記録されない。つまりISPにTorの使用を秘匿できる

クライアント端末 => ISP(通常、ISPと契約するクライアントの通信は必ず通る) => VPNサーバ => Torリレー => アクセス対象サーバ

3.3.2. VPN over TorとProxy over Tor

VPN over Tor/Proxy over TorではTor経由でのアクセスをブロックしているサイトにアクセスすることができる。 原理的にはアクセスするサーバから見てVPNサーバ/プロキシサーバが送信元IPアドレスとなるためである。

またVPN over Tor(Onion over VPN)ではVPNサービス事業者に本当のIPアドレスを秘匿できる。 そのためVPNサービス事業者から通信ログが漏洩した場合の匿名性を守る事ができると言える。

クライアント端末 => ISP(通常、ISPと契約するクライアントの通信は必ず通る) => Torリレー => VPNサーバ or Proxy => アクセス対象サーバ

VPN over Torは少々複雑であるため通常のVPNサービスでは対応していることは少ない。 対応していると知られているVPNサービス事業社にはAirVPNがある。 これらの特徴からWeb Proxy、この特徴からProxy over Torにすることが推奨される。

Tor to Proxyの場合はWebプロキシやHTTP/SOCKSプロキシを使う方法がある。 具体的には「Glype」「PHProxy」「Proxifier」「torsocks」この辺のツールで構築できる。

参考:Webプロクシサーバリスト 参考: VPN over Torのセットアップ方法

3.4. VPNのセキュリティを高めた接続方法

3.4.1. Double VPN

Double VPNは、通常のVPN接続をさらに別のVPN接続と重ねるもの(マルチホップ接続とも呼ばれる)。 これはトラフィックを2つ以上のVPNサーバーを経由させることで、プライバシーとセキュリティを向上させることを目的としている。

この手法は高いプライバシーとセキュリティを求める場合や特定の国でのインターネット検閲を回避したい場合に向いてると言える。

具体的な特徴は以下の通り。

  • 二重の暗号化 トラフィックは2重に暗号化されるためデータが盗聴や中間者攻撃から保護される。
  • IPアドレスの隠蔽 データは複数のVPNサーバーを経由するため出発地のIPアドレスが隠蔽されプライバシーが向上する。
  • トラフィックのルーティング 通信が複数のVPNサーバーを通過するため通信経路が複雑になり、トラッキングやトレースバックが難しくなる。

3.5. 様々な匿名によるサービスの利用方法

3.5.1. 匿名メールアドレス

匿名メールはProtonMailやGuerrilla Mailで実現する。 ただしSMS認証が必要となったため、匿名電話番号やSMSの入手が必要となる。

ProtonMail

ProtonMailはスイス のProton Technologies AGが提供している匿名電子メールサービス。

https://proton.me/mail

通信やメッセージを暗号化することでProtonMailの従業員もメッセージを復元できない「ゼロアクセス・アーキテクチャ 」を採用し、ログの保存やトラッキングを行わないなどセキュリティとプライバシー保護を重視している。

推奨ブラウザは Mozilla Firefox/Brave/Tor ブラウザ 。

Guerrilla Mail

Guerrilla Mailは使い捨てのメールアドレスをユーザーに提供するサービス。 特徴としては受信してから60分経過するとメールを完全に削除する。

3.5.2. 匿名電話番号/SMS

5SIM

5SIMは時間限定で1つのサービスのみのSMS受信可能の番号を入手できるサービス。

https://5sim.net/

SMS認証の承認に便利なサービスといえる。 支払い方法はプリペイド式クレジットカードがおすすめ。

sms24

https://sms24.me/en/