4. ネットワーク
4.1. LANとWAN
局所的な狭い範囲のネットワークはLAN、LAN同士をつなぐ広域ネットワークはWANと呼ばれる。
4.1.1. 通信路の方式とWANの技術
通信路を互いの1本の回線で結ぶ方式は専用回線方式と呼ばれる。 また交換機により必要に応じた通信路が確立される方式は交換方式と呼ばれる。 交換方式には以下の2種があり現在はパケット交換方式が主流。
- 回線交換方式 ・・・ 回線自体を交換機が繋ぎ通信路が固定される
- パケット交換方式 ・・・ パケットという単位分割された通信データを交換機が回線へ送り出すことで通信路を形成する
WANを除いて現在のコンピュータネットワークで用いられるのはほぼパケット交換方式である。 またWANは以下の方式でつながれることが多い。
種類 | 説明 |
---|---|
専用線 | 拠点間を専用線で結ぶもの、高セキュリティだが高価 |
フレームリレ方式 | パケット交換方式をもとに伝送中の誤り制御を簡素化し高速化したもの。データ伝送単位は可変長フレームである |
ATM交換方式 | パケット交換方式をもとにデータ転送単位を固定長のセル(53バイト)にすることで高速化を目指したもの、伝送遅延は小さい |
広域イーサネット | LANで使われるイーサネット技術を用いて接続するもの。高速かつコスト面のメリット大。近年主流の方式 |
4.1.2. LANの接続方式(トポロジ)
4.1.3. イーサネット
LANの規格として、最も普及しているのがイーサネット(Ethernet)である。 IEEEにより標準化されいくつかの規格に分かれている。伝送速度の単位であるBPSは1秒間に送ることのできるデータ量を表す。
4.1.4. イーサネットのアクセス制御方式
イーサネットはCSMA/CD方式でアクセス制御を監視している。
4.1.5. トークンリングとトークンパッシング
リング型のLANの代表であるトークンリングはアクセス制御方式にトークンパッシングが採用されている。
4.1.6. 無線LAN
物理的なケーブルを用いず、電波を用いて無線で通信を行うLANは無線LANであり、IEEE802.11として規格化されている。 電波が届く範囲であればどこでも繋げられますが、電波は盗聴される恐れがあるため暗号化などのセキュリティ対策が重要である。
4.1.7. クライアントとサーバの制御
ネットワークによって複数のコンピュータが組み合わせて動く処理の形態には主に2つの種類がある。
- 集中制御型 ・・・ ホストコンピュータが手中的に処理を行い、他のコンピュータにツリー状などでぶら下がる構成となる
- 分散処理型 ・・・ 複数のコンピュータに負荷を分散させ、それぞれで処理を行うようにした構成となる
クライアントサーバシステム
集中管理した方がよい資源やサービスを提供するサーバと必要に応じリクエストを行うクライアントという2種類のコンピュータで処理を行うシステムである。現在の主流である。
4.2. プロコトルとパケット
4.2.1. プロコトルとOSI基本参照モデル
コンピュータ同士がやり取りするための規定プロコトルと呼ばれる。 またプロコトルはたくさんの種類があり、7階層に分けたものはOSI基本参照モデルと呼ばれる。
インターネットではTCP/IPというプロコトルが利用されています。
4.2.3. ネットワークの伝送速度
ネットワークの伝送にかかる時間は下記式で求まる。 伝送時間 = データ量 / 回線速度
4.3. ネットワークの構成装置
4.3.1. LAN装置とOSI参照モデル
4.3.2. NIC(Network Interface Card)
NICはコンピュータをネットワークに接続するための拡張カードでありLANボードとも呼ばれます。 役割としてはデータを電気信号に変換しケーブル上に流すことと受け取ることである。 また、IEEEにより規格化されたMACアドレスをが振られており、世界中で自由重複しない番号で保障される。
MACアドレスは16進数表記で48バイトあり、先頭の24ビットが製造メーカ番号で、後ろの24ビットが製造番号を表す。
4.3.3. リピータ
リピータは第1層(物理層)の中継機能を実現する装置である。 ケーブル中を流れる電気信号を増幅し、LANの延長距離を延ばす。
また、ネットワーク中につながっていてデータの流される範囲はセグメントであり、1つのセグメントに大量のコンピュータが繋がっている場合、パケット衝突が多発するようになり回線利用効率が低下する。
4.3.4. ブリッジ
ブリッジは第2層(データリンク層)の中継機能を実現する装置である。 セグメントの中継役として、流れてきたパケットのMACアドレス情報の確認と他方へのセグメントへパケットを伝送する。
ブリッジから転送される中継パケットはCSMA/CD方式であるため、衝突の発生が抑制されネットワーク使用効率が向上する。
4.3.5. ハブ
ハブはLANケーブルのポートを複数持つ集線装置である。
- リピータハブ ・・・ リピータを複数束ねたものであり、パケットは無条件でポートへ流される
- スイッチングハブ ・・・ ブリッジを複数束ねたものであり、パケットは宛先MACアドレスに該当するCPが繋がるポートのみに流される
4.3.6. ルータ
ルータは第3層(ネットワーク層)の中継機能を実現する装置である。 異なるネットワーク同士の中継役として、流れてきたパケットのIPアドレスを確認した後最適経路へパケットを転送する。
ルータは経路表(ルーティングテーブル)に基づいて、最適な転送先を選択する。これはルーティングと呼ばれる。
4.3.7. ゲートウェイ
ゲートウェイは第4層(トランスポート層)以上で異なるネットワーク間においてプロコトル変換による中継機能を提供する装置である。 ネットワーク間で使われるプロコトルの差異をこの装置が変換することで互いの接続を可能とする。
4.4. データの誤り制御
データ誤りはビットがノイズや歪により異なる値となることである。 データや誤りを確実に防ぐ方法はなく、パリティチェックやCRC(巡回冗長検査) などの手法により誤りを検出し訂正する。
パリティチェック
パリティチェックでは送信するビット列に対しパリティビットと呼ばれる検査用のビットを付加することでデータや誤りを検出する。 特徴として1ビットの誤りを検出することができるだけである。誤り訂正ができないという問題もある。
- 偶数パリティ ・・・ ビット列中の1の数が偶数になるようにパリティビットをセットする
- 奇数パリティ ・・・ ビット列中の1の数が奇数になるようにパリティビットをセットする
水平垂直パリティチェック
パリティビットはどの方向に付加するかにより、水平パリティと垂直パリティに分かれる。 垂直水平パリティチェックであればどのビット位置が誤りであるか検出することができる。
CRC(巡回冗長検査)
CRCはビット列を特定の式(生成多項式)で割り、余りをチェック用のデータとして付加する手法。 この方式ではデータ誤り訂正はできないが、連続したビット誤りなどを検出することが可能である。
4.5. TCP/IPを用いたネットワーク
TCP/IPは第4層(トランスポート層)のTCPと第3層(ネットワーク層)のIPというプロトコルを組み合わせたものである。インターネットのデフォルトスタンダードとなっている。
4.5.1. TCP/IPの中核プロトコル
IP
IPは経路制御を行い、ネットワーク間のパケット転送を行います。 なおコネクションレス(接続確認をとらない)型の通信であるため、通信品質は第4層プロトコルであるTCPやUDPに依存する。
TCP(Transmission Control Protocol)
TCPは通信相手とのコネクションを確立してデータを送受信するコネクション型のプロトコルである。 パケット順序や送信エラー時の再送などを制御し、送受信のデータの信頼性を保証する
UDP(User Datagram Protocol)
UDPは通信相手と事前に接続確認を取らずに一方的にパケットを送り付けるコネクションレス型の通信プロトコルである。信頼性は欠けるが高速であり、映像配信サービスなどのリアルタイム性を重視する用途に適している。
4.5.2. IPアドレスの種類
IPアドレスは32ビットで表されるネットワーク上の住所であり、グローバルIPとプライベートIP(ローカルIP)がある。この2つの関係は電話の外線と内線に似ています。
グローバルIPアドレス
グローバルIPアドレスはインターネットで用いるIPアドレスであり、NIC(Network Information Center)により管理される。
プライベートIPアドレス
プライベートIPアドレスはLAN内で用いれるIPアドレスであり、LAN内での重複が発生しなければシステム管理者が自由に割り当て可能です。
4.5.3. IPアドレスの構成
IPアドレスの内容はネットワークアドレス部とホストアドレス部に分けられ、それぞれの関係は住所と名前に似ています。
- ネットワークアドレス ・・・ どのネットワーク化を示す
- ホストアドレス ・・・ どのコンピュータか示す
4.5.6. IPアドレスのクラス
IPアドレスはクラスA、クラスB、クラスCの3クラスに分かれており、それぞれ32ビットの内何ビットをネットワークアドレス部に振るかの規定となっている。
区分 | 説明 |
---|---|
クラスA | 0.0.0.0 ~ 127.255.255.255: 大規模ネットワーク用 |
クラスB | 128.0.0.0 ~ 191.255.255.255: 中規模ネットワーク用 |
クラスC | 192.0.0.0 ~ 223.255.255.255: 小規模ネットワーク用 |
4.5.7. ブロードキャスト
同一ネットワーク内の全てのホストに一斉に同じデータを送信することはブロードキャストと呼ばれる。 また特定の一台に送信することはユニキャスト、複数でなお且つ決められた範囲の複数ホストに送信する場合はマルチキャストと呼ばれる。
4.5.8. サブネットマスクによるネットワーク分割
小規模ネットワークのクラスCにおいては最大254台のホストを扱えます。そこまでホストがいらず、部門ごとにネットワークを分割するにはサブネットマスクを用います。
4.5.9. MACアドレスとIPアドレスの違い
データの配送はイーサネットが行い、近距離を繋ぐのに用いられるのがMACアドレス、中継はIPアドレスが行います。
4.5.10. DHCPの仕組み
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol) を用いるとIPアドレスの割り当てと言ったネットワークの設定作業を自動化することができる。
4.5.11. NATとIPマスカレード
NATやIPマスカレードはプライベートIPをグローバルIPに変換する技術であり、ルータに実装されています。
NAT
グローバルIPとプライベートIPを対で結び付けて相互に変換を行う。また同時にインターネット接続できるのはグローバルIPの数分のみである。
IPマスカレード(NAPT)
グローバルIPに複数のプライベートIPを結び付け、一対複数の変換を行う。IPアドレス変換時にポート番号を合わせ書き換えることで、1つのグローバルIPアドレスで複数のコンピュータが同時にインターネットに接続可能。
4.6. ドメイン名とDNS
ドメイン名はIPアドレスを文字で別名を付けたものである。 「www.yahoo.co.jp」などと記載されます。 ドメイン名とIPアドレスを関連付け管理しているのがDNSサーバであり、ブラウザなどではドメイン名やIPアドレスをDNSサーバに尋ねると、それに応じたIPアドレスやドメイン名が返ります。
4.7. ネットワークのサービス
ネットワークの様々なサービスは第5層以降のプロコトルが提供する。 またそれらはプロコトルを処理するサーバにより提供される。
4.8. サービスの識別(ポート番号)
IPアドレスではコンピュータの識別はできても、そのサーバプログラムに宛てたものかまでは特定できない。 そこでその接続口としてポート番号という0~65535までの接続口をプログラム上で用意されます。
4.9. WWW(World Wide Web)
WWWは多くの人が用いるサービスであり、「http://~」とアドレスを打ち込んだりして見るサービスです。 このサービスはWEBブラウザを用いて世界中にあるWEBサーバから文字や画像、音声、動画などを得ることができます。
4.9.1. Webサーバへのリクエスト
4.9.2 Webページの表示
WebページはHTML(HyperText Markup Language)により記述されている。
4.9.3. URLの正体
URL(Uniform Resource Locator)という表記を用いる。
4.9.4. CGI
CGI(Common Gateway Interface)はWebブラウザからの要求に応じ、Webサーバで外部プログラムを実行するために用いる仕組み。
4.10. 電子メール
電子メールはネットワーク上のメールサーバをポスト兼私書箱に見立て、テキストやファイルをやりとりする。 MIME(Multipurpose Internet Mail Extentions)という規格により、メールに様々なファイルを添付できるようになりました。
4.10.1. メールアドレス
メールアドレスはユーザ名とドメイン名で構成されます。ユーザ名とドメイン名は@で区切られます。
例:kitakami@gmail.com
- ドメイン名 ・・・ 住所にあたる情報
- ユーザ名 ・・・ 名前にあたる情報
メール宛先の種類
電子メールは目的に応じて3種類の宛先を使い分けできます。
種類 | 説明 |
---|---|
TO | 宛先である相手のメールアドレスを記載する |
CC | 一応見てほしい(返信不要)な相手のメールアドレスを記載する |
BCC | 他者にわからない状態で一応見てほしい相手のメールアドレスを記載する |
4.10.2. SMTP
SMTPは電子メールを送信するプロコトルです。 SMTPに対応したサーバはSMTPサーバと呼ばれ、郵便ポストとメールの送信の役割を持ちます。
4.10.3. POP
POPは電子メールをユーザが受信する際に使われるプロコトルです。 POPに対応したサーバはPOPサーバと呼ばれ、現在はPOP3がよく使われています。
4.10.4. IMAP
IMAPはPOPと同じく電子メールをユーザが受信する際に使われるプロコトルです。 POPと異なるのは送受信データはサーバで管理されるため、どのコンピュータからでも同じデータを参照できます。
4.10.5. MIME
MIMEは日本語などの2バイト文字や画像データなどのファイルの添付を行えるように、電子メールの機能を拡張したものです。 MIMEには暗号化や電子署名の機能を加えたS/MIMEという規格がある。
4.10.6. 電子メールの文字化け
特定のコンピュータでしか表示できない文字は機種依存文字と呼ばれる。 メールなどでは機種依存文字の使用は避けられる。
4.11. ビッグデータと人工知能
ビッグデータ
ビッグデータはインターネット上に蓄積されていく膨大なディジタルデータである。 このビッグデータは3特性を持つ。
- Variety(多様性)
- Velocity(頻度)
- Volume(量)
これらの分析は統計的な手段を用いて行われる。
人工知能(Artificial Intelligence)
人工知能は、人に明確的な定義やプログラミングされた指示がなくても、判断材料をもとに分析・学習することで様々な判断を行える。 AIの実現するための技術には機械学習がある。 また機械学習を発展させたものにはディープラーニングがある。
機械学習
機械学習の学習方法には3つの方法がある。
教師あり学習
データに正解や誤りを定義する手法
教師なし学習
データのみ与える手法
強化学習
行動に対する良しあしを得点として与えることで得点が最も多く得られる方策を学習する手法